クラウンレングスニングとは
クラウンレングスニングとは、「歯冠延長術」とも呼ばれる歯茎の処置の治療法です。
虫歯が歯の根まで進行してしまい、歯茎の上に出ている歯の部分がほとんど無くなり、歯茎が覆い被さってしまったり、歯が割れてしまい歯茎部分にしか歯が残っていない場合、通常の虫歯治療では歯の根の部分に土台を作ることができないため、抜歯が必要になります。
しかし、クラウンレングスニングによって歯茎を少し下げて、その下にある虫歯や歯が割れている部分を露出させることで、露出した歯に土台を立てることが可能になるため、抜歯をせずに被せ物を作ることができるだけでなく、その歯を長持ちさせることも可能な治療法です。
クラウンレングスニングのメリット
抜歯するしかない状態の歯を残すことができる
虫歯や歯が割れている部分の下にある部分の歯を、歯茎の上に出すことができれば、抜歯をせずに歯を残すことが可能な場合があります。
破折を防ぐフェルールを確保できる
被せ物の処置をした際に、土台として接触する象牙質の部分（フェルール）が大きいほど、歯にかかる負担が少なくなるため、歯の破折を防ぐことができます。
歯の審美性を確保できる
歯茎の高さを修正して歯の長さを揃えたり、形を修正して整えることで審美性を確保することができます。
被せ物がすぐに外れるのを防ぐ
歯の高さが極端に短いために、噛み合わせが悪い場合、被せ物が外れやすくなってしまいます。その際にクラウンレングスニングによって歯の高さを確保できるため、被せ物が外れにくくなります。
クラウンレングスニングのデメリット
・知覚過敏や歯の根が虫歯になってしまう
クラウンレングスニングをおこなうことで、歯茎が下がってしまうため、知覚過敏や歯の根が虫歯になってしまうリスクが高くなります。その際、被せ物の処置により改善も可能です。
審美性の問題
前歯にクラウンレングスニングをおこなった場合、歯茎が下がり歯の根が露出してしまうので、審美性において問題が起きる場合があります。その際に被せ物の処置で審美性は改善できます。
治療期間がかかってしまう
歯茎を下げる処置をおこなった後は、数ヶ月かけて徐々に歯茎の位置は落ち着いていきます。十分な治癒期間を設け、歯茎の治りを待ってから被せ物の処置をおこなう必要があるため、治療期間が長くなってしまいます。
エクストルージョンとは
エクストルージョンは矯正治療の分野ですが、虫歯治療にも応用される治療法です。虫歯が歯の根まで進行してしまい、歯茎の上に出ている歯の部分がほとんど無くなってしまったり、歯が割れてしまい歯茎の中にしか歯が残っていない場合、通常の虫歯治療では歯の根の部分に土台を作ることができないため、抜歯をおこないインプラントなどの人工歯の補填治療が必要になります。しかし、エクストルージョンによって、矯正力で歯を引っ張りだすことにより、歯茎の下にある歯を露出させることで、露出した歯の根に土台を立てることが可能になり、フェルール効果を獲得することで、長く使用できる被せ物の治療をおこなうことができる場合があります。
フェルール効果とは
被せ物が根の土台部分のみしか覆っていないと、噛む力が直接に土台のみに伝わってしまうため、土台の破損や被せ物が外れてしまう原因になります。長く使用できる被せ物を作るためには、歯の全周が歯茎より上に最低でも1mm出ていることが重要になります。この1mmの部分に被せ物がついていることで、歯の根と土台それぞれに噛む力が分散されるため、土台の破損や被せ物が外れてしまうということが起きにくくなります。この力の分散のことを「フェルール効果」といいます。フェルール効果は、力の分散だけではなく、被せ物が外れることで起こる細菌感染を防ぐためにもとても重要なのです。
エクストルージョンのメリット
抜歯するしかない状態の歯を残すことができる
虫歯や歯が割れている部分の下の歯の部分を、歯茎の上に出すことができれば、抜歯をせずに歯を残すことが可能となる場合があります。
破折を防ぐフェルールを確保できる
被せ物を被せたとき、土台として接触する象牙質の部分であるフェルールが大きいほど、歯への負担が少なくなります。
審美性を確保できる
歯茎の高さを修正して歯の長さを揃えたり、形を整えることによって審美性を確保することができます。
骨を作ることができる
インプラントにするしか方法がなかった歯を、抜歯する前に引っ張り上げることで、骨を作ることができるため、抜歯をせずに済む可能性があります。
エクストルージョンのデメリット
治療期間がかかる
矯正力で歯を移動させたり、矯正後に骨ができるまでの間、待たなければならないため、治療期間は数ヶ月と長くなります。
歯を支える根が短くなる
顎の骨に接する歯根が短くなってしまうため、歯の噛み合わせを支える力が弱くなってしまいます。
矯正後に、外科処置が必要になる場合があります。
歯槽骨の高さが揃ってない場合に、外科手術による修正が必要となります。
